yukino_halu’s diary

日常の雑記。

本を読んで考えた

自分ごとの政治学 中島岳志

NHK出版の「学びのきほん」シリーズ。 100ページ程度の薄い本で、文字も大きいからあっという間に読める。 4つの章立てで、政治学の基本概念、政治の「考え方」とは、「自分ごと」を過去に学ぶ、死者と日常の政治学。 政治は左翼と右翼、保守とリベラル、な…

がん-4000年の歴史- シッダールタ・ムカジー

『病の皇帝「がん」に挑む』の改題で、原題が THE EMPEROR OF ALL MALADIES : A Biography of Cancer 。 上下巻で1冊が500ページ程度。とはいえ引用文献や索引等があるので、本文は上下巻合わせて800ページくらい。久しぶりにページ数が多いものを読んで少々…

古代日本の官僚 虎尾達哉

古代日本の官僚 天皇に仕えた怠惰な面々 虎尾達哉 飛鳥・奈良・平安時代の官僚について、様々な史料を元に実態に迫る。 章立ては、律令官人とは何か、儀式を無断欠席する官人、職務を放棄する官人、古来勤勉ではなかった官人たち、官人たちを守る人事官庁、…

ネガティブ・ケイパビリティ 帚木蓬生

ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力 帚木蓬生 精神科医の著者がネガティブ・ケイパビリティという言葉を知った経緯や、ポジティブ・ケイパビリティとの違い、医療・創造・教育・寛容におけるネガティブ・ケイパビリティについて。 現代…

仮病の見抜きかた 國松淳和

金原出版から出ていて、本書によるとこの出版社は医学書専門の会社らしい。 医師でもある著者が、短編小説の形をとって10症例を書き、かつ医学的ポイントを解説的に書いている。形式としては各短編小説のど真ん中に解説が挟まれていて、小説としても読み物と…

これからの「正義」の話をしよう マイケル・サンデル

これからの「正義」の話をしよう いまを生き延びるための哲学 マイケル・サンデル 2010年発行。原題はJUSTICE What's the Right Thing to Do? で、著者はNHK教育でも放送された「ハーバード白熱教室」の教授。番組は1回くらいは見たような気がする。 正しい…

医者と病院をうまく使い倒す34の心得 山本健人

医者と病院をうまく使い倒す34の心得ー人生100年時代に自分を守る上手な治療の受け方ー 山本健人 目次からざっくりまとめると、検査・受診・薬のQ&A、医者とのコミニュケーション、医者からのアドバイス。医療資源は有限だし、みんなでうまく有効に使おう、…

哲学マップ 貫成人

新書なので、分量は少なめ。14章中で東洋思想は1章分のみ。現代社会は西洋的な思想が幅を利かせているから、西洋思想に重きを置いた構成なのは当然か。 古代から現代まで、西洋哲学の流れが書かれている。人とは世界とは生きるとは宇宙とは何か。自然を見つ…

君主論 マキアヴェッリ

岩波文庫で、河島英昭の訳。1998年の発行。 「NHK 100分で名著 ブックス」の君主論を読んでから少し経つ。これは400ページ近い本で、約半分が注釈。比較的最近の訳文だったせいか、読み難さは感じなかった。 マキャベリはルネサンス期のイタリア人、おそらく…

本当に良い医者と病院の見抜き方、教えます。 大塚篤司

本当に良い医者と病院の見抜き方、教えます。”患者の気持ちがわからない”お医者さんに当たらないために 大塚篤司 タイトルが長い。京大医学部の先生で、皮膚科医らしい。 医者の中には「気持ち軽視・ロジック重視」や「患者を物のように見がち」な人がいたり…

変貌する日本の安全保障 半田滋

2021年4月初版。 なんというか「直視を避けていた部分を、きっちり見せられた」感じ。認めたくない現実が、次々と出てくる。 ABE元首相とTRUMP前大統領の幼稚さ、それを制御できなかった私たち。 国家元首の地位を私利私欲、私益(名声?)のために使った。…

脳の中の幽霊 V•Sラマチャンドラン

脳の中の幽霊 V•Sラマチャンドラン サンドラ•ブレイクスリー 山下篤子:訳 随分と前に話題になっていた気がする本。私はどうも、リアルタイムでは話題の作品を摂取しない傾向がある…本も映像も音も。天邪鬼の自覚はないけれど。 テレビで見たことのあるミラー…

在宅無限大 村上靖彦

在宅無限大 訪問看護師がみた生と死 村上靖彦 「ケアをひらく」というシリーズ商品の一つ、らしい。著者は本書の中で何度か「私はもともと哲学者だった」と書いていて、略歴には精神分析学博士とある。哲学から医療に興味を持ったのだろうか。 訪問看護師に…

科学する心 池澤夏樹

私は科学が好きなんだな、と思った。研究者じゃないし、論文を読むわけでもない。積極的に最新のサイエンストピックを探すわけでもない。だけど身近な科学とかふと耳に入った科学ニュースにワクワクする。理解の程度はさておき。 雑誌に掲載された12本のエッ…

君主論 マキャベリ 武田好

「NHK 100分で名著 ブックス」の本。岩波文庫で『君主論』を買ったら随分と厚みがあって、読める気がしなくなったのでこれを購入。テレビ放送で偶然、第1回だけは見たような気がしなくもない。 「『君主論』は陰謀術数が書かれた本ではなく、マキャベリの就…

真理の探究 佐々木閑 + 大栗博司

真理の探究 仏教と宇宙物理学の対話 佐々木閑 + 大栗博司 序 心のフィルターを外す営み 佐々木閑 第一部 宇宙の姿はどこまで分かったか 大栗博司 / 聞き手 佐々木閑 第二部 生きることはなぜ「苦」なのか 佐々木閑 / 聞き手 大栗博司 第三部 「よく生きる」…

エピジェネティクス 中野徹

エピジェネティクス −新しい生命像をえがく 中野徹 高校生の時には生物の授業が好きだったし、自分(人間)も生き物だから興味を持ったのだけど…漠然とした理解が精一杯。精力的に研究されている一分野として成立しているくらいだから、新書で書ける分量を考…

ニュースの未来 石戸諭

とても雑に一言でまとめるなら、記者(ライター)の心得。安易な方法ばかりに頼ろうとせず、質の良いものを届ける努力をしていこうよ、と言う語りかけ。 ただ、文中で述べられていることは主に書いたり発信したりする側のことだけど、読んだり受け取ったりす…

はじめてのインド哲学 立川武蔵

「はじめての」というけれど私の素養が完全にゼロだったので、新書なのに通読するのにとても時間がかかったし、3回読んでもほぼ理解できなかった、がっくり。文字を目で追っている時には、わかったつもりになるけれど…読み終わってみると「何が何だかさっぱ…

世界を、こんなふうに見てごらん 日髙敏隆

非常に平易な文章で、読みやすい。そして、思考の偏り・思い込みに対して「ほんとに?」と気付くきっかけをくれる。 近年、科学は役に立たない金食い虫だ、と言われることも多いが、その際に感じる鬱屈した感情を、優しく突かれた感じもした。 常識とは何か…

協力と裏切りの生命進化史 市橋伯一

物質の発生−生命の発生−単細胞−多細胞−…−現在のヒト等。 タイトルの「裏切り」が想像できなくて、この本を手に取った。 裏切りとはちょっと言い過ぎな気がする。生命の進化においては、独善の方がしっくりする、私にとっては。 内容は中高生の時に学んだ理科…

どこからが病気なの? 市原真

著者の文体にちょっと違和感を感じ、レーベルの「ちくまプリマー新書」を検索。どうやら「学生の”学び”に役立つテキストや、大人の学びなおしに対応!」らしい。著者の言も合わせて推測すると、対象は高校生? 病気ってなに?という問いを、病理医が解き明か…

大人のための社会科 井手英策・宇野重規・坂井豊貴・松沢裕作

「大人のための社会科 未来を語るために」 (井手英策・宇野重規・坂井豊貴・松沢裕作) 「社会科」と言われると、学校で学んだ「地理・歴史・公民・倫理」を思い浮かべてしまい、昔〜現在についての観察・考察のようなものだと思い込んでいた、恥ずかしい。…

グループ・ダイナミックス 釘原直樹

正確なタイトルは以下の通り。 「グループ・ダイナミックス 集団と群衆の心理学」 (釘原直樹) これまで働いてきた職場で思うところがあったので、読んでみた。直接的な答えになるものではなかったけれど、面白かった。以下はメモとか感想とか。 ・集団的手…

自分をみじめにしないためには アルバート・エリス

タイトルが長すぎる…正確なタイトルは以下の通り。 「どんなことがあっても 自分をみじめにしないためには 論理療法のすすめ」 (アルバート・エリス 著、國分康孝・石隈利紀・國分久子 訳 川島書店) 私は素人なので、認知行動療法と本書の論理療法との違い…