yukino_halu’s diary

日常の雑記。

君主論 マキアヴェッリ

岩波文庫で、河島英昭の訳。1998年の発行。

NHK 100分で名著 ブックス」の君主論を読んでから少し経つ。これは400ページ近い本で、約半分が注釈。比較的最近の訳文だったせいか、読み難さは感じなかった。

マキャベリルネサンス期のイタリア人、おそらく当人の感覚としてはフィレンツェ人(1469-1527)。高校世界史の朧げな記憶を頼りに当時の世界(西欧)情勢を思い描きつつの読書。ルネサンス期の通例として(?)古代ローマギリシア時代(紀元前5世紀〜紀元後5世紀頃)の史実も引用しているので、名前がカタカナの人が多くて歴史弱者としては少々つらい。まあ本筋に影響はしないから、人名部分を流し読みしても意味は取れる。

マキャベリストなんていう言葉があるくらいで、どんなに悪辣なことが書かれているのかと思っていたけれど、当時の情勢を考えたらごく普通の内容。ちょっと頭が良くて外交官としての経験があり国を憂う思いがあって、就職活動の一環として為政者に宛てて書いたレポートとしてはこんなものだろう。

当時のイタリアには共和制の地域と君主制の地域があり、フィレンツェは共和制。マキャベリは、メディチ家による君主制へと移行する(マキャベリの言う「市民による君主制」)ための君主としての心得を書いた。人間観や組織観としては、人間の本質が500年くらいで変わるはずもなく、当たり前だけど現在にも通じるものがある。