yukino_halu’s diary

日常の雑記。

仮病の見抜きかた 國松淳和

金原出版から出ていて、本書によるとこの出版社は医学書専門の会社らしい。

医師でもある著者が、短編小説の形をとって10症例を書き、かつ医学的ポイントを解説的に書いている。形式としては各短編小説のど真ん中に解説が挟まれていて、小説としても読み物としても不思議な感じ。

本のタイトルは「仮病の見抜きかた」だけど、通底するメッセージは「仮病だと決めつけるな」だと思う。あとは「病名にこだわるな」とか「『心因性』とは精神病や気のせいという訳じゃない」。

私は医療従事者ではないので病態については解説的な部分を読んでも表面的なことしかわからなかった。一方で、医療従事者の心のうちや思考回路を、ちょっと垣間見られた気がした。なんといっても医療者本人が書いているものだし。医者だって聖人君子でも超人でもなくただの人。日々更新されていく医学的知識を仕入れながら、目の前の患者や疾患に自分の精一杯で対応している。