yukino_halu’s diary

日常の雑記。

これからの「正義」の話をしよう マイケル・サンデル

これからの「正義」の話をしよう いまを生き延びるための哲学 マイケル・サンデル 

2010年発行。原題はJUSTICE What's the Right Thing to Do? で、著者はNHK教育でも放送された「ハーバード白熱教室」の教授。番組は1回くらいは見たような気がする。

正しいこと、功利主義リバタリアニズム自由至上主義)、市場と道徳、イマヌエル・カント、ジョン・ロールズアファーマティブ・アクション積極的差別是正措置)、アリストテレス、忠誠のジレンマ、正義と共通善。

扱われる題材は、道徳的ジレンマや実際のニュースなど。瞬間的には「こっちが正しい、こういう判断が適切だ」という思考が立ち上がる。しかし改めて冷静に立場や見方を変えると、何が正しいのか何を根拠に考えれば良いのかがわからなくなる。自己中心的な考えは否定されがちだけど、自分を常に除外して考えることは本当に正しいのか?100人中99人が幸せになるためなら1人を犠牲にしても良いのか?代理出産で貧困国の女性の子宮を賃借することは許されるのか?など。

学校教育と違い、実生活では白黒ハッキリせずに正解のないことが多い。自分の損得やなんとなく、ではなく他人に説明できるような、他人も理解できるような判断基準を持つことの重要性を再認した。他人を説得して自分に利するためではなく、建設的な対話を通して互いにより良く生きるために。