yukino_halu’s diary

日常の雑記。

ネガティブ・ケイパビリティ 帚木蓬生

ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力 帚木蓬生

精神科医の著者がネガティブ・ケイパビリティという言葉を知った経緯や、ポジティブ・ケイパビリティとの違い、医療・創造・教育・寛容におけるネガティブ・ケイパビリティについて。

現代では、とにかく正解を答えを結論を、早く早くと求めがち。スマホなど情報機器が発達して矢継ぎ早に多くの情報が入ってくるようになって、その傾向が強くなっているようにも思う。

この本によれば「早く答えを」というのは生物が生き延びる上で必要な能力らしい。確かに敵か否かは瞬時に判断しないと命に関わる。

とはいえ、根拠の乏しい中で性急に出した判断には、思い込みもあったりして間違いも多い。世の中はすぐに答えが出ることばかりじゃない。現実世界は、不確かで曖昧でモヤモヤするような状況がほとんど。

…とはいえ、地球温暖化対策や核兵器廃絶、プラスチック汚染や環境破壊など、先延ばしにしていたら手遅れになりそうなものも多いけど。

私たちは税金下げろ・福祉等の補償を手厚く、などの卑近なことは即断即決即効性を求めるけど、温暖化対策としての省エネなどすぐに効果が出ないことには無関心。温暖化で異常気象が増えてるね〜と言いながら、長袖を着て冷房、半袖を着て暖房。食べきれない食品を入手して捨てる、なんとなく色々と買ってどんどん捨てる。製造・水処理・ゴミ処理にエネルギーが使われることには思いが至らない。

人間は脳が発達し、現在だけでなく過去や未来を考えられるようになった。それでも基本的には、たった今目の前にあることにしか注意を向けられないんだろう。意識して広い視野を持とうとしない限り。