世界を、こんなふうに見てごらん 日髙敏隆

非常に平易な文章で、読みやすい。そして、思考の偏り・思い込みに対して「ほんとに？」と気付くきっかけをくれる。

近年、科学は役に立たない金食い虫だ、と言われることも多いが、その際に感じる鬱屈した感情を、優しく突かれた感じもした。

常識とは何か。色眼鏡で世の中を見ていないか。人間も生き物の一種。

科学も工学も万能ではない。また、世の潮流によって科学成果の解釈も変化する。

人間はちっぽけで自然をコントロールできない、管理もできない。だけど自然に対して数と力で決定的なダメージを与える。

子供の頃、アリの行列が不思議で眺めていたことを思い出した。本で「フェロモンによる行動」と知った後も、不思議だという感覚が消えなかった。いつの間にか色々と「とにかくそういうものだ」と疑問に蓋をして片付ける癖がついてしまったことを、ちょっと寂しく思う。

「なぜ？」に答えようとするのが科学の基本。周りには不思議があふれている。