yukino_halu’s diary

日常の雑記。

農薬?(2)

農薬の登録を申請する際に提出する試験成績は以下の36種らしい。農水省のホームページより。

(1)薬効に関する試験成績

(2)薬害に関する試験成績
  ア  適用農作物に対する薬害に関する試験成績
  イ  周辺農作物に対する薬害に関する試験成績
  ウ  後作物に対する薬害に関する試験成績
(3)毒性に関する試験成績
急性毒性を調べる試験
  ア  急性経口毒性試験成績
  イ  急性経皮毒性試験成績
  ウ  急性吸入毒性試験成績
  エ  皮膚刺激性試験成績
  オ  眼刺激性試験成績
  カ  皮膚感作性試験成績
  キ  急性神経毒性試験成績
  ク  急性遅発性神経毒性試験成績
中長期的影響を調べる試験
  ケ  90日間反復経口投与毒性試験成績
  コ  21日間反復経皮投与毒性試験成績
  サ  90日間反復吸入毒性試験成績
  シ  反復経口投与神経毒性試験成績
  ス  28日間反復投与遅発性神経毒性試験成績
  セ  1年間反復経口投与毒性試験成績
  ソ  発がん性試験成績
  タ  繁殖毒性試験成績
  チ  催奇形性試験成績
  ツ  変異原性に関する試験成績
急性中毒症の処置を考える上で有益な情報を得る試験
  テ  解毒方法又は救命処置方法に関する試験成績
動植物体内での農薬の分解経路と分解物の構造等の情報を把握する試験
  ト  動物代謝に関する試験成績
  ナ  植物代謝に関する試験成績
  二  家畜代謝に関する試験成績
環境中での影響をみる試験
  ヌ  土壌中動態に関する試験成績
  ネ  水中動態に関する試験成績
  ノ  水産動植物への影響に関する試験成績
  ハ  水産動植物以外の有用生物への影響に関する試験成績
  ヒ  有効成分の性状、安定性、分解性等に関する試験成績
  フ  環境中予測濃度算定に関する試験成績
  ヘ  農薬原体の組成に関する試験成績
(4)残留性に関する試験成績
  ア  農作物への残留性に関する試験成績
  イ  家畜への残留性に関する試験成績
  ウ  土壌への残留性に関する試験成績
 
毒性や代謝については、当たり前だけど特定の動物植物種でしか試験していないから、試験していない動物植物種に関しては推測するしかない。品種による違いもありそうだし。
環境中での影響についても、あくまでも特定の環境のみ。基本的には実験室内だろう。実際の使用環境とはかなり違いそう。
実際のところ、こういう試験は「クリーンな」環境で行われると思う。目的の農薬以外の影響を排除した環境。試験に使われる動植物は健康体だけだろうし。
現場では様々な農薬が使われていることを考えると、相乗効果というか相乗憎悪?もありそうだし、本当のところは誰にもわからない。
安全性に関しては一応、農薬ごとにADIやARfDなどが設定されている。
ADI(一日摂取許容量。これくらい摂取しても大丈夫だろう、という量)
ARfD(急性参照容量。ヒトがある物質を24時間、またはそれより短時間に経口摂取した場合に、健康に悪影響を示さないと推定される一日当たりの摂取量)
ADI、ARfD共に、動物実験で安全とされた量を元にして、種族の違いや寿命を考慮して安全係数100で割った数値にしている。
ADIもARfDも大抵はラットを元にしている。ラットの寿命は2-3年。ヒトの寿命は50-100年くらい。農薬は何百種類もあるし、微量とはいえ脂肪組織に蓄積しやすい傾向がある。安全係数は100で良いんだろうか?
 
試験報告書を読んでみると、実験動物が可哀想になってくる。使われる生物も色々で、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、コイ、ミジンコ、藻類、ミミズ、蚕、ミツバチ…多量の農薬を与えられて、殺されて。試験の中には「外観や動作の異常を観察」するものもあるけど、動物たちはヒトと違って具合が悪くてもギリギリまで平気なフリをする。行動がおかしいのはよっぽどのこと。
 
虫は1年で3-4世代も交代するものがいる。どんどん世代交代して進化して、農薬なんかものともしない世代が出現する。雑草だって同じ。農薬開発と虫や草の進化とはイタチごっこ。農薬で農作業が楽になるのは事実かもしれないけど、農薬に頼らない農業のあり方も真剣に考えなくちゃならないのでは?農薬会社は食い扶持を失うから猛反発するだろうけど。