yukino_halu’s diary

日常の雑記。

エスフェンバレレート

薬登録情報提供システムに載っている「成分」を取り上げてみる。とりあえず飽きるまで。感想なんかは灰色文字で。

エスフェンバレレート

フェンバレレートは合成ピレスロイド系 の殺虫剤であり、昆虫の中枢及び末梢神経系に作用し、反復興奮及び伝導抑制などによって異常興奮と痙攣を起こし作用するものと考えられている。エスフェンバレレートは、フェンバレレートの一種。

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普通はピレスロイド系と言ったら、ピレスロイドに類似の構造を含んでいるものだけど。どうやら合成ピレスロイドとは、特定の酸とアルコールのエステルを指す言葉らしい。神経系に異常を起こす薬剤。フェンバレレートは上記構造式で赤米印(*)をつけた部分の立体構造が異なる4種の化学物質の総称。

乳牛や採卵鶏の試験では、投与したフェンバレレートの約1%量が、牛乳や卵黄に移行。

乳牛にフェンバレレートを混餌したり背中に噴霧したりすると、微量だが牛乳(乳脂肪)に移行する。投与中止後も、投与量によっては3週間くらい牛乳中に検出された。

鶏・豚・羊では、フェンバレレートは脂肪や卵黄に移行し、投与量によるが投与を中止しても数日から数週間は検出された。

動物実験の結果では、主に脂肪に移行・蓄積しやすいということだろう。毎日摂取していたら、常に一定量は体に保存されているということか。

栽培作物の試験では、散布された表面に長期間フェンバレレートがとどまる。わずかではあるが、植物体内の移動もある。

「一度散布すれば長期間効く」タイプ。脂溶性の成分なので、野菜を水洗いしても落ちにくいのかも。

土壌に吸着されやすい。吸着されたフェンバレレートは1年経っても1-2割は残存する。

雨で流されにくいことは、環境(河川)汚染の観点からは良いかもしれない。汚染された土壌で育てられた野菜を食べることになるけど。根から吸収されるんだろうか?

各種毒性試験結果から、フェンバレレート投与による影響は、主に体重(増加 抑制)、神経系(振戦、刺激反応性の亢進等)、肝臓、脾臓、リンパ節及び副腎 (いずれも多発性肉芽腫等)に認められた。肉芽腫性病変の発生については[2R, αS]異性体の関与が考えられた。また、エスフェンバレレートの影響として、神経 系(振戦、異常歩行等)、体重(増加抑制)等に、フェンバレレートと同様の毒 性が認められた。フェンバレレート、エスフェンバレレートのいずれも、発がん 性、繁殖能への影響、催奇形性及び遺伝毒性は認められなかった。

妊娠初期に1-2週間だけ、フェンバレレートやエスフェンバレレートを与えているようだ。幼児期からずっと摂取していた親が妊娠出産した場合はどうなんだろう?他の農薬との相乗作用は考えなくて良いのだろうか。

各試験で得られた無毒性量のうちフェンバレレートの最小値は、ラットを用いた3世代繁殖試験の1.7 mg/kg体重/日であった。一方、エスフェンバレレートに ついて、各試験で得られた無毒性量のうち最小値は、ウサギを用いた発生毒性試験の2 mg/kg体重/日であった。フェンバレレートはエスフェンバレレートよりも 最小の無毒性量が低く、フェンバレレートの一日摂取許容量(ADI)をもってエスフェンバレレートを含めた ADI とすることが適当であると判断し、フェンバレレートのラットを用いた3世代繁殖試験の1.7 mg/kg体重/日を根拠として、安全係数 100で除した 0.017 mg/kg 体重/日を ADI と設定した。

 

農薬・動物用医薬品評価書 フェンバレレート https://www.fsc.go.jp/iken-bosyu/pc5_nou_dou_yaku_fenva_250618.pdf

「環境保健クライテリア(EHC)日本語抄訳 テトラメトリン」https://www.nihs.go.jp/hse/ehc/sum2/ehc098/ehc098.html  「合成ピレスロイドの概説」を参考にした